2008年の韓国で8歳の女児が強姦され肛門と膣の80%を失った残忍な「ナヨン事件」ですが、映画化された作品が話題です。
今回は事件について内容の詳細、被害者の女の子のその後、犯人「チョ・ドゥスン」の判決や現在、映画化作品情報をお届けします。
この記事の目次
ナヨン事件(チョ・ドゥスン事件)とは
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2008年に韓国で発生した「ナヨン事件」とは、韓国・京畿道安山市檀園区で8歳の女児が男に誘拐・暴行され、肛門と膣の80%を失うことになった強姦致傷事件です。
この事件は被害者の女の子の仮名「ナヨン」からナヨン事件と称されました。
ただ現在は、被害者ではなく加害者を問題にすべきとの声が強まり、犯人の名前である「チョ・ドゥスン」から取った「チョ・ドゥスン事件」と呼ばれています。
ここではナヨン事件改め、チョ・ドゥスン事件の内容詳細を始め、被害者や犯人のその後と現在についてまとめました。
事件を基に映画化された「ソウォン/願い」の情報もあわせてお届けします。
ナヨン事件(チョ・ドゥスン事件)の内容の詳細
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まずはナヨン事件の詳細、事件の内容から見ていきましょう。
ナヨン事件は2008年12月11日8時30分、韓国・京畿道安山市檀園区の教会で発生しました。
当時56歳だった犯人男性チョ・ドゥスンは朝から酒に酔っていました。
そして、教会前の路上で学校に登校中だった当時8歳の被害者女児キム・ナヨン(仮名)を発見し、「教会に行かなければならない」と声を掛けて女の子を教会のトイレに連れ込みました。
教会のトイレで犯人のドゥスンは、自分の性器を舐めるように要求しましたが、被害者の女の子はそれを拒否。
すると頭部を殴るなどの暴行を働き、女の子が泣き出すと首を絞めて失神させました。
気絶した女の子に対し肛門性交を行い強姦した犯人、DNA鑑定などで自身の犯行が発覚することを恐れ、便器のつまりを掃除する器具で被害者の肛門を吸引して精液を吸い取りました。
さらに頭部を井戸水の水道水で洗い、水道水を流したまま、犯行現場に被害者を放置して現場を立ち去っています。
教会の水道水は井戸水だったこともあり、水に含まれていた雑菌が被害者の目や耳、鼻に入り、視力低下・鼻腔炎・内耳炎を起こしました。
また、被害者は肛門を吸引された際に脱腸し、脱腸した下半身の壊死により肛門と膣の80%を失う重傷を負いました。
ナヨン事件(チョ・ドゥスン事件)のその後:被害者キム・ナヨンと両親
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ナヨン事件の被害者の女の子はどのような人物だったのか、そして事件後どうなったのかを見ていきましょう。
ナヨン事件の被害者で当時8歳だった女の子・ナヨンは、事件により、精神的苦痛だけでなく、肛門と膣の80%を失う身体的障害を負いました。
被害者の両親は事件後、仕事を辞め、生活保護を受けながら市から支援金を受給して、ナヨンの治療に専念しました。
しかし、保険会社から4000万ウォンの保険金が支給されたことで、市からの支援金600万ウォンの全額返金を要求される事態になります。
返金しない場合は住宅保証金を差し押さえると共に、生活保護も停止すると通知されました。
被害者は身体の機能が永久に喪失され、心理治療も受けなければならない状態だとして両親は市に抗議しましたが受け入れられませんでした。
娘の治療のために仕事を辞めた両親は、絶望の淵に落とされます。
しかしこの情報が報道されたことで市に批判が殺到し、市は支援金の返却要求を撤回し、生活保護も支給し続けることを発表しました。
ナヨン事件(チョ・ドゥスン事件)のその後:犯人のチョ・ドゥスン
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ナヨン事件の犯人であるチョ・ドゥスンは、過去にも同様の事件を何度も繰り返していた人物で、前科17犯という犯罪歴があったことが判明しています。
1983年には当時19歳だった女性に対する強姦致傷罪で懲役3年の刑に服しただけでなく、1996年には60代男性を暴行の末に死亡させました。
そしてナヨン事件後の2009年、強姦傷害罪で起訴され、裁判では韓国での最高刑である無期懲役を求刑されました。
しかし、韓国では酒に酔った状態での犯行を心神喪失状態と見なす酒酔減軽の条項があります。
チョ・ドゥスンが事件当日のことを「酒に酔っていて覚えていない」と供述したことでこの条項が適用され、懲役12年という軽すぎる刑が下りました。
犯人のドゥスンは刑務所の独房に収監されましたが、12年経った2020年に刑期を満了して出所しています。
刑期満了に伴い、被害者への接近禁止、児童施設への立ち入り禁止、外出制限、飲酒禁止が適用され、居住地の半径1km内の監視カメラの増設が発表されました。
それでも前科17犯という凶悪犯が再び市井に放たれることに、韓国国内でも大きな議論を呼ぶこととなりました。
ナヨン事件(チョ・ドゥスン事件)のその後:児童への性犯罪者を厳罰化
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このナヨン事件は韓国では当初、あまり大きく報道されていませんでした。
しかし2009年、テレビ番組で性犯罪者監視のためにGPS付足輪の着用事例として紹介されたことを機に、事件が広く知られるようになり、犯行の残忍さや刑の軽さが議論を巻き起こします。
世論が激しくなったことで、2009年12月、当時韓国大統領だった李明博氏が中心となり、韓国政府は児童性犯罪に対する量刑を最大50年まで引き上げ、公訴時効を廃止することを決定。
さらに、児童保護区域内に設置する防犯・監視システムのCCTVを拡大することが発表されました。
2010年7月には「性暴行犯罪者の性衝動薬物治療に関する法律」が施行され、19歳以上の性暴行犯罪者に対し薬品投与による科学的去勢を行う法律が生まれました。
泥酔時の犯行は心神喪失状態だとして情状酌量される「酒酔減軽」の廃止も議論されるようになり、2018年に心神耗弱の減刑義務が廃止されました。
ナヨン事件(チョ・ドゥスン事件)の現在
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2020年12月13日、ナヨン事件の犯人であるチョ・ドゥスンが12年の刑期を終えて刑務所から出所しました。
出所前の2017年には、凶悪な性犯罪者チョ・ドゥスンの出所を目前に国民から反対の声が上がり、「チョ・ドゥスン出所反対」の嘆願に61万人以上もの署名が集まっています。
ただ、チョ・ドゥスンは判決通り2020年12月に刑務所を出所し、現在は自宅がある安山市へ戻りました。
出所時には、マスコミはもちろん個人のYouTuberや動画配信者などが集まり、チョ・ドゥスンが乗った車を取り囲んで車を蹴るなど大きな騒ぎに。
騒ぎを起こしたYouTuberや若者が、公務執行妨害及び共用物損壊疑いで拘束されるほどの事態になりました。
犯人チョ・ドゥスンに反省の色なし?
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ナヨン事件の犯人チョ・ドゥスンが出所したことで韓国内では大きな騒動となりましたが、犯人は裁判や受刑期間中にも、反省の色が見られない言動をしていたことが話題になっています。
チョ・ドゥスンは裁判で無罪を主張し、受刑期間中も「出所したら被害者の家の近くに住む」「出所したら被害者に会う」と発言していたとマスコミにより報じられました。
チョ・ドゥスンは現在、被害者への接近禁止及び性犯罪者監視のためのGPS付足輪の着用が義務付けられており、身元も公開され、行動はすべて当局に監視されています。
とはいえ完璧に行動を制限することは難しく、犯人の自宅近くには児童が通う保育園もあることから、現在も国民から心配と怒りの声が上がり続けているのが実情です。
ナヨン事件の犯人が被害者に近付くことなく、そして新たな被害者が生まれないよう、徹底的な対策が講じられることを願いたいですね。
ナヨン事件(チョ・ドゥスン事件)は映画化されている
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2008年に発生したナヨン事件を基にした映画が制作され、2013年に映画「ソウォン/願い」が公開されました。
この映画は女児暴行事件の被害に遭った女の子と家族の苦悩と再生をテーマに、被害者家族が絶望の淵から立ち上がる姿が描かれています。
映画「ソウォン/願い」のあらすじ
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映画「ソウォン/願い」は、幸せに暮らしていた8歳の少女ソウォンが酒に酔った男に暴行され、身体と心に一生消えない深い傷を負うところから物語が始まります。
取材に殺到するマスコミや世間からの注目、そして犯人逮捕のためにと8歳の少女に証言を求める社会に対し、両親は愛する娘を守るために奔走します。
しかし、ある出来事をきっかけに、ソウォンが父親に犯人の記憶を重ねて怯えるようになります。
怯える娘の心を守るため、世間の視線から守るため、大きな愛情を持って奮闘する家族の温かな物語が描かれました。
映画「ソウォン/願い」のキャスト
映画「ソウォン/願い」の監督は「王の男」で知られるイ・ジュンイクが務めました。
主人公であるソウォン役は、本作が映画デビュー作となる子役女優イ・レが抜擢。
物語の鍵を握る両親役には「シルミド」「ザ・スパイ シークレット・ライズ」のソル・ギョング、「美しき野獣」「映画館の恋」などのオム・ジウォンがキャスティングされています。
映画「ソウォン/願い」の主要キャストであるソウォン一家のキャラクター・キャストを見ていきましょう。
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ソウォンの父親ドンフン(演:ソル・ギョング)は、どこにでもある平凡で幸せな家庭の父親で、娘の髪を結ぶのが苦手ながらも愛情は人一倍ある人物。
事件後、ソウォンは男性である父親に犯人の記憶を重ねて怯えるようになり、父親は娘の心を守るためにキャラクターの着ぐるみを被って生活することになりました。
この父親・ドンフン役を演じたのは、映画「ペパーミント・キャンディー」で一躍トップ俳優の仲間入りを果たしたソル・ギョングです。
映画「シルミド」「TSUNAMI-ツナミ-」「ザ・タワー 超高層ビル大火災」など、数々の大ヒット作で主演を務めています。
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ソウォンの母親はミヒ(演:オム・ジウォン)は文房具店を営みながら、愛する夫と娘に囲まれて幸せに暮らしていました。
愛する娘が凄惨に傷付けられた事件を機に心が引き裂かれるほど苦しみながらも、家族を守るために弱音を吐かず、ソウォンの治療に奮闘する姿が描かれました。
ミヒ役を演じたオム・ジウォンは、映画「スカーレット・レター」で脚光を浴び、カンヌ国際映画祭に出品された「映画館の恋」でヒロインを演じてスターの地位を不動にした女優です。
映画出演だけでなく、テレビドラマやMCとしても活躍しています。
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ソウォン(演:イ・レ)は映画「ソウォン/願い」の主人公であり、暴行事件の被害に遭い一生消えない傷を負わされた8歳の少女です。
ソウォン役を演じたイ・レは、オーディションにより主人公に選ばれ、本作が映画デビューとなった新人子役です。
新人とは思えない豊かな感情表現で難役を見事に演じ、天才子役として一躍有名になりました。
イ・レは現在も女優として活躍しており、日本でも話題になった映画「新感染半島 ファイナル・ステージ」で凄まじいドライブテクニックを持った少女ジュニ役を演じています。
この他にも映画「犬どろぼう完全計画」「戦場のメロディ」などの映画に出演し、ドラマ「パパはスーパースター!?」「アルハンブラ宮殿の思い出」などテレビドラマでも活躍しました。
2021年には「新感染半島」でタッグを組んだヨン・サンホ監督の新オリジナルシリーズ「地獄」がNetflixで配信され、韓国を代表する女優の1人として活躍しています。
映画「ソウォン/願い」の評価
韓国実際に起きたナヨン事件を基にした映画「ソウォン/願い」は、日本語字幕でも見ることができます。
映画を見た人は概ね高い評価を付けており、「心に突き刺さる。ソウォン役の女の子の演技が素晴らしい」と、天才子役と称されるイ・レの演技を絶賛しました。
他にも、
「韓国の子役のレベルの高さを目の当たりにした」
「実話を基にしているだけに尚更つらい」
「女児暴行事件の被害に遭った家族の物語を丁寧に描いた良作」
「強い怒りを感じたが、役者の演技が素晴らしく、父娘のシーンに感動した」
といったレビューが寄せられています。
映画の内容は実際にあったナヨン事件を基にしているだけに、残酷で見ていてつらいものではありますが、韓国映画らしい描写や表現が光る作品です。
気になった方は「ソウォン/願い」をぜひ一度見てみてくださいね。
まとめ
韓国のナヨン事件の内容詳細、被害者女の子や犯人のその後と現在、映画化された「ソウォン/願い」についてお届けしました。
二度とこのような悲惨な事件が起きないよう、徹底した対策が講じられることを願います。