「チェジュ航空2216便事故」の詳細を徹底解説します。事故原因や動画・ボイスレコーダーの内容、機長や犠牲者の情報と死因、日本人乗客の有無や生存者の情報を紹介。さらに事故前後のチェジュ航空の評判、株価や料金の変動についてもお届けします。
この記事の目次
チェジュ航空の事故とは

出典:https://www.traicy.com/
チェジュ航空2216便事故は、2024年12月29日に発生した航空事故です。
韓国の格安航空会社であるチェジュ航空の2216便(ボーイング737-800)が、タイ・スワンナプーム空港から韓国・務安(ムアン)国際空港へ向かい、務安国際空港での胴体着陸に失敗して大破・炎上した航空事故です。
事故により乗員・乗客181人のうち179人が死亡し、多くの乗客と乗員が犠牲となりました。
チェジュ航空の事故原因

出典:https://japanese.joins.com/
チェジュ航空2216便の事故原因は、事故発生後から現在までに調査機関による詳細な分析が行われ、「バードストライク」が主な原因だったと判断されています。
事故が発生した経緯
チェジュ航空2216便の事故発生時の時系列は以下の通りです。
08:54|管制塔から2216便へ着陸許可が出る
08:57|管制塔からバードストライクの警告が出る
08:59|着陸を試みていた2216便が再び上空へ。操縦士がメーデーを発信
09:01|2216便は空港北側を旋回後、再び着陸を試みる
09:03|ランディングギアが展開せず胴体着陸を行うも、滑走路をオーバーランし高さ2メートルの外壁に衝突し機体が炎上
チェジュ航空2216便は、バードストライクの警告により上空を旋回後、再度着陸を試みた際に機体のランディングギア(飛行機の着陸装置)が展開しない状態となりました。
そのため胴体着陸を試みましたが、滑走路をオーバーランした末、200km/hの高速で外壁に衝突し炎上したというのが事故の経緯です。
チェジュ航空の事故原因はバードストライク
事故直後、韓国の国土交通部は事故原因として、鳥がエンジン内に吸い込まれる「バードストライク」が主な原因で、さらにランディングギアの誤動作といった複数の事故原因が推定されると発表しました。
韓国メディアによると、事故発生時に空港近くの海辺で釣りをしていた男性が、事故機が滑走路に着陸しようと下降した際、鳥の群れと正面衝突する状況を目撃したという証言も報じられています。
目撃者は、鳥がエンジンに吸い込まれたあと2~3回ほどの破裂音がした、右側エンジンから炎が見えたという証言もしていました。
エンジンから羽毛が発見された
2025年1月7日、韓国・国土交通部により、事故機のエンジンから羽毛が発見されたことが発表されました。
これにより事故機のエンジンのうち少なくとも1つがバードストライクを受けたことが確実となりました。
事故調査委員会は会見で「バードストライクが発生したことが確認された。エンジンに入った土を掘り出す過程で、羽毛の一部を発見した」と発表。
この発見により、これまで管制塔の警告や生存者・目撃者の証言をもとにバードストライクが事故原因だと推定されていたものが、公式に認められる形となりました。
衝突したコンクリート構造物も事故の一因
事故機が胴体着陸を試みた際、滑走路をオーバーランして200km/hの高速で外壁に衝突したことも、事故の被害が拡大した一因とされています。
外壁はコンクリートの構造物で、航空機の安全な着陸をサポートするアンテナ装備施設のローカライザーが設置されていました。
務安国際空港ではこれが硬いコンクリート製だったことで、機体が衝突した際に大破して被害が大きくなったと指摘されています。
この事故を受け、国土交通部は安全を考慮してコンクリート構造物の撤去を発表。
さらに麗水(ヨス)、浦項(ポハン)、慶州(キョンジュ)、光州(クァンジュ)国際空港など、全国の空港で類似する構造物の位置や材質などの点検を行い、必要に応じて撤去や再設置など改善作業に着手する方針を発表しています。
チェジュ航空事故の動画

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チェジュ航空事故発生後、韓国メディアの報道により、事故発生時の動画が公開されました。
日本の報道機関からも事故の動画が公開されています。
動画には、機体が車輪を展開していない状態で胴体着陸し、猛スピードでコンクリート構造物に衝突して大破・炎上する様子が収められています。
事故の動画がメディアを通じて公開されたことで、チェジュ航空事故の重大さ、安全対策の重要性を示すこととなりました。
これらの動画は事故原因の解明のみならず、今後の事故防止に向けての教訓としても重要な映像になります。
今後二度と同様の事故が起こらないよう、航空業界の安全対策が今以上に向上するよう願うばかりです。
チェジュ航空事故の機長の情報

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チェジュ航空事故の機長の情報について解説します。
事故機を担当していた機長は、2019年からチェジュ航空に勤務していたパイロットであり、累計6,823時間の飛行経歴を積んでいたベテランでした。
また、副操縦士の飛行経歴は累計1,650時間でした。
機長は長年にわたる勤務の経験を買われて機長を担当し、累計6,823時間という飛行経歴からも、これまでに難しい気象条件下でも無事に運航を終えた実績があることが窺えます。
しかしバードストライクやランディングギアの異常、そして滑走路端にあったコンクリート構造物などいくつかの事故の要因が合わさり、事故が発生してしまったものと考えられます。
事故発生時の機長の行動
チェジュ航空2216便事故の発生時、機長は管制塔からバードストライクの可能性を警告され、上空で待機する指示を受けていました。
しかしその1〜2分後に機長によりメーデーが要請されています。
飛行データや操縦室の音声記録はフライトレコーダーに記録されていますが、機体が大破・炎上したことで事故前後の記録を取り出すことが難しく、事故発生時に機長がどのような異常を察して行動に移したかは、詳しくはわかっていません。
チェジュ航空事故の犠牲者

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チェジュ航空事故の犠牲者について解説します。
乗員乗客181人のうち犠牲者は179人
チェジュ航空事故の犠牲者は、乗員乗客181人のうち、乗客175人と乗務員4人の計179人が死亡したと発表されています。
犠牲者のうち韓国人乗客が173人、タイ人乗客が2人です。
この犠牲者数は、2002年に金海(キメ)国際空港近くで発生した「中国国際航空129便墜落事故」の犠牲者数129人を上回り、韓国国内で発生した航空事故として最多の死者数となりました。
犠牲者の性別・年齢
乗客175人の性別は、男性82人、女性93人です。
事故発生時は年末ということもあり家族連れで旅行に出かけた人なども多く、幅広い年齢層の乗客が搭乗していました。
乗客の最年長は1946年生まれ、最年少は2021年生まれです。
10歳未満の乗客が5人、10代の乗客が9人搭乗していたことが発表されています。
また、乗客のほとんどはタイ・バンコクへの5日間のクリスマスパッケージツアーからの帰国者でした。
ツアーを企画した旅行会社が飛行機をチャーターしており、旅行会社の職員が8人、さらに全羅南道教育庁の行政職員が5人搭乗していたことも発表されています。
犠牲者の多くが家族旅行やビジネスの帰りだったことから、若年層の乗客も多かったことが報じられ、韓国国内では事故によるショックが大きく、連日にわたり韓国のテレビ番組やニュースがトップニュースとして扱いました。
チェジュ航空事故の生存者

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チェジュ航空事故では、奇跡的に2人の生存者がいました。
生存者はどちらも客室乗務員で、機体後部のジャンプシートに座っていました。
1人は肋骨・肩甲骨・上部脊椎を骨折。
もう1人は足首と頭部を負傷したものの、いずれも意識があり、命に別状はないことが確認されています。
30代男性の生存者の証言
事故後、メディアにより生存者の証言が報じられました。
チェジュ航空の客室乗務員である30代男性は、事故直後に病院に搬送されてから医療スタッフに「何があったのか」と尋ねるなど、事故前後の記憶が曖昧でした。
「私はなぜここに来たのか。着陸を控えて安全ベルトを着用し、飛行機がほぼ着陸したようだったが、記憶がない」と話したといいます。
男性は肋骨・肩甲骨・上部脊椎を骨折し、集中治療室に入院して脳のCTなどの追加検査を行い、その後は絶対安静で治療を受けました。
20代女性の生存者の証言
もう1人の生存者は、客室乗務員の20代女性です。
女性は病院に搬送されたあと、医療スタッフとの対話に問題がないほどの状態で、負傷も足首と頭部にとどまりました。
女性は搬送過程で救助隊員に対し「バードストライクと推定され、飛行機の片方エンジンから煙が出た後に爆発した」と証言したとのことです。
生存者はどちらも命に別状はなかったものの、心的外傷を受けている可能性が考えられます。
生存者の今後のケアも必要となっていくでしょう。
チェジュ航空事故の日本人乗客

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チェジュ航空2216便には、日本人の乗客はいませんでした。
ただしチェジュ航空は日本〜韓国間を多数運行する航空会社であり、便によっては日本人の乗客がほとんどというケースもあります。
チェジュ航空のみならず全ての航空業界で同様の事故が二度と起こらないよう、安全管理や飛行スケジュールについて改めてしっかりと見直すことが求められます。
チェジュ航空事故のボイスレコーダー内容

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チェジュ航空事故発生後、韓国の国土交通部やアメリカの米国家運輸安全委員会により、フライトレコーダー・ボイスレコーダーの解析が行われました。
フライトレコーダーは、飛行機の運行データや操縦室の音声記録など、重要な情報を記録する装置であり、事故原因を解明するために非常に大きな役割を果たします。
解析されたボイスレコーダーの内容、音声データについて見ていきましょう。
フライトレコーダーの解析結果
フライトレコーダーの内容からは、事故発生前後の機内の状況や操縦士の対応に関する情報を知ることができます。
事故の原因解明に重要な手がかりとなりますが、チェジュ航空事故ではフライトレコーダーが破損しており、コネクター部分が喪失していました。
そのため韓国国内ではデータの解析ができないと判断され、アメリカの米国家運輸安全委員会が解析を主導すると発表されました。
ボイスレコーダーの解析結果
ボイスレコーダーはコックピット内のやり取りが記録されているもので、パイロット同士の会話や、危機に直面した際のやり取りに関する情報を得ることができます。
ボイスレコーダーは韓国国内で記録データを音声ファイルに置き換える作業が進められていましたが、衝突直前の“最後の4分間”のデータが保存されていなかったことが発表されました。
バードストライクでエンジンが故障し、電気の供給が断たれたため、シャットダウンが起きたことが原因だとされています。
これにより事故直前のデータを取り出すことは叶わず、ボイスレコーダーの内容を知ることは困難になりました。
チェジュ航空の株価

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チェジュ航空事故の発生後、同社の株価に大きな影響が生じました。
事故発生後からチェジュ航空の株価は急落し、今後の経営への影響が懸念されました。
事故前後の株価の変化
事故前、チェジュ航空は韓国国内でも有名なLCCとして株価が安定しており、業績も良好でした。
しかし事故後は一時16%急落し上場来安値をつけるなど一時的に大きく株価が下落。
また、親会社のAKホールディングスも10%急落し、2010年以来の安値をつけました。
さらに事故の余波で米国ボーイング社の株価が直前営業比で4.4%下落するなど、航空業界の株価は大きな打撃を受けることになりました。
チェジュ航空は事故後に再発防止策の強化・安全運航に関する対策を発表しており、航空業界での信頼回復に努めています。
今後、どのように株価推移するのか注目が集まります。
チェジュ航空の料金

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チェジュ航空の料金は、シーズンや予約タイミングによって変動します。
日本〜韓国の航空券の料金も時期によって異なり、特に旅行シーズンには高騰することがあります。
チェジュ航空の出発地ごとの料金
日本〜韓国の往復航空券の相場は、出発地や予約のタイミングによって異なります。
東京や大阪からソウルに行く航空券は、春の旅行シーズンの最低料金で10,000〜15,000円程度です。
福岡からソウル行きの最低料金は7,000〜8,000円程度で、かなり安価な航空会社です。
チェジュ航空のシーズンごとの料金
チェジュ航空のシーズンごとの最低料金について紹介します。
2025年3月現在、3月〜10月の料金が発表されています。
3月:¥12,663~
4月:¥10,290~
5月:¥13,620~
6月:¥12,534~
7月:¥12,857~
8月:¥21,695~
9月:¥14,163~
10月:¥18,523~
また、チェジュ航空はシーズンごとにセールを開催することが多いです。
2024年7月には、出発期間2024年11月1日~11月30日を対象としたセールを開催し、最低料金は福岡〜ソウル・釜山で片道1,490円~という驚きの低価格を提供しました。
他にも多くのセールを開催しており、開催頻度は月4回ほど開催される傾向にあります。
チェジュ航空はセールが多いため、セールに合わせて航空券を予約するのがおすすめです。
おすすめの時期は6月・10月

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航空券の料金はシーズンや予約時期によって大きく変動し、春休みやゴールデンウィークなどの観光シーズンは価格が高騰する傾向があります。
安い時期は6月で、梅雨の時期かつ連休のない時期のため航空券やホテルが安くなります。
韓国旅行のベストシーズンは9~11月の秋頃で、過ごしやすい気候の中で観光地巡りや韓国グルメを楽しむことができます。
チェジュ航空に限らず韓国行きの航空券はセールが開催されることが多いため、事前に情報をチェックして料金が安い時期に予約するのがおすすめです。
チェジュ航空の評判

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チェジュ航空は、韓国を拠点とするLCC(格安航空会社)として、国内外で広く利用されてきました。
事故前は多くの日本人も利用し、安くて便が多いことから評判も良好でした。
しかし、チェジュ航空事故が発生したあと、同社の評判は大きく影響を受けています。
チェジュ航空の事故前の評判
チェジュ航空は、全羅南道や光州市に国際線でアクセスできる最も近い空港である務安国際空港を発着しており、成田国際空港や福岡空港から務安国際空港へ直行便を運行していたのはチェジュ航空のみで、同地域を訪れる際に重宝されていました。
日本では成田・関空・新千歳・中部セントレア・福岡・那覇の6都市に就航し、ソウルの仁川空港はもちろん、済州のビーチリゾートへの路線も充実しており、韓国を訪れる日本人にとってはとても身近な航空会社です。
他の韓国LCCと同様に低価格でのサービス提供を強みとし、多くの旅行者に支持されてきました。
予約のシステムや乗務員の対応も比較的高評価を受けており、乗客からの満足度は高かったと言えます。
利用客数は2023年に25万人、2024年は10月までに28万人を記録するなど、韓国LCCの中でも一番に選択肢に上がるほどの航空会社でした。
チェジュ航空の事故後の評判
チェジュ航空事故後、同社の評判は大きく揺らぎました。
事故の被害を大きくした原因がコンクリート構造物など人災的な見方が強まり、会社の安全管理に対する批判が強まったことで、チェジュ航空の信頼性を疑問視する声が多数上がっています。
事故後は株価が急落するなど経営に対する評判にも影響を与えており、株主や投資家からも今後の経営に対する懸念の声が集まっています。
旅行者にとっては、チェジュ航空の事故は飛行機を利用する際の大きな不安材料となりました。
チェジュ航空だけでなく格安のLCCの利用者は、航空券の価格の安さと安全性どちらを重視するかのバランスを考えて慎重になっています。
頻繁に韓国を訪れていたという旅行者も、事故発生後からはチェジュ航空のフライトを避けるようになった人もいるかもしれません。
旅行者が安心して飛行機に乗るためには、航空会社の徹底した安全対策が欠かせません。
事故により評判は急落しているので、今後は信頼回復に向けた取り組みに注目が集まります。
信頼回復に向けた取り組み

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チェジュ航空は、事故後に信頼回復に向けた取り組みを強化しています。
パイロットや乗務員に対する安全教育はもちろんのこと、滑走路や空港内での安全管理の向上や、緊急時の対応向上に努めることを発表し、事故の再発防止策を徹底することを明言しています。
バードストライクに対する対策だけでなく、空港滑走路の安全化、機体の安全な管理体制、航空機の運航に関する法規制、監査の強化などが進み、同様の事故が起こらない仕組みが構築されることが期待されています。
しかし韓国国内で最大の死者を出した航空事故のため、完全に評判を回復するには時間がかかります。
より一層安全な運航手順が構築されるまでは、今後も慎重な対応が求められるでしょう。
まとめ
チェジュ航空2216便の事故原因、事故発生時の動画やフライトレコーダー・ボイスレコーダーの内容、機長・犠牲者・生存者の情報と死因、日本人乗客の有無について解説しました。
また、これから韓国旅行を考えているという人に向けて、チェジュ航空の評判、韓国旅行の航空券の料金についても紹介しました。
今後チェジュ航空は事故を受けてどのように信頼を回復するのか、安全対策の強化や再発防止策に注目していきましょう。