金正日の長男で金正恩の異母兄にあたる金正男(キム・ジョンナム)は、2017年に暗殺され世界を騒然とさせました。
今回は金正男が暗殺された原因や死因、実行犯2人、そして実は影武者で生きているという噂をまとめました。
この記事の目次
金正男(キム・ジョンナム)のプロフィール
独裁国家・北朝鮮の後継者候補だった金正男
キム・ジョンナム氏は、北朝鮮の前最高指導者である故・金正日(以下、キム・ジョンイル)総書記と女優出身の成恵琳(以下、ソン・ヘリム)氏との間に生まれた長男でした。
しかし、女優出身ということが次期最高指導者となる後継者の妻にはふさわしくないとして、初代最高指導者・金日成国家主席が結婚を反対したそうです。
そのため、キム・ジョンナム氏が5歳になるまで、母子ともども世間から隠蔽されていました。
そうした生い立ちからも、キム・ジョンナム氏は”グレて”しまい、後継者争いに興味を持たず北朝鮮を飛び出して世界を放浪するようになりました。
金正男についての詳しいプロフィールはこちら。
生年月日: 1971年5月10日
出生地: 朝鮮民主主義人民共和国 平壌
没年月日: 2017年2月13日(45歳没)
死没地: マレーシア セランゴール州セパン
出身校: 金日成総合大学
所属政党: Flag of the Workers’ Party of Korea.svg 朝鮮労働党
配偶者: シン・ジョンヒ/ミョンヒ (本妻)、李恵慶〈リ・ヘギョン〉(第2夫人)
子女: 金クムソル (息子) (母ジョンヒ)、金漢率 (息子) (1995年誕生、母恵慶)、金ジミー (息子) (1997年誕生)、金率熙〈ソリ/ソルヒ〉(娘) (1998年誕生、母恵慶)
親族: 金正日 (父親)、成恵琳 (母親)、金日成 (祖父)、金雪松 (妹)、金正哲 (弟)、金正恩 (弟)
引用:Wikipedia – 金正男
日本に非常に興味を持ち、偽造パスポートで6度ほど日本にも旅行に訪れていたキム・ジョンナム氏。
ディズニーランドが好きで気さくな性格から、ネット上では「いい人」だと人気を集めていました。
世襲後継を批判し、人民生活を心配して涙を流した「開明さ」。閉鎖国家の前最高指導者の長男の意外な一面と、カメラの前での人懐こいしゃべりによって、日本で出来上がった金正男氏のイメージは、遊び好きだが気さく、愛嬌があって、知的な「常識人」というものだった。「俺たちの正男」などとアイコン化して語る人まで現れた。
引用:Yahoo!ニュース – 「金正男氏は気さくないい人」キャラはメディアが作った虚像 国内では放蕩に反発、チンピラとの悪評も
キム・ジョンナム氏がいくら後継者争いに興味がなく、北京やマカオを拠点に貿易業で生計を立てていたといいます。
しかし、異母弟・金正恩(以下、キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長にとっては、ずっと目の上のたんこぶの存在で、暗殺計画は常に存在し未遂に終わったこともあったと言われています。
2017年2月13日、ついにその暗殺計画が実を結び、キム・ジョンナム氏はマレーシアのクアラルンプール国際空港構内で、雇われた素人の女性2人によりVXガスで殺害されました。
金正男(キム・ジョンナム)が暗殺された原因とは
金正恩は金正男の放蕩ぶりを危惧していた
WEBメディアの「現代ビジネス」が、中国経由で朝鮮労働党幹部に質問を投げることに成功しました。
その回答からは、キム・ジョンウン氏は長年海外で放蕩を続けるキム・ジョンナム氏が邪魔な存在だと感じていたようです。
想像するに、長年にわたって邪魔で仕方ない存在だったろう。
正男は、’01年に日本で、みっともない形で拘束された時、将軍様(故・金正日総書記)の逆鱗に触れた。
その時、父親から出国禁止を言い渡されたが、正男はしばらくすると、その命令を無視して、再び海外生活を始めた。それで将軍様に、『二度と平壌に戻って来るな』と厳命されたのだ。
だから将軍様が、’11年12月に逝去された時も、正男は祖国に戻っていない。いまの元帥様も父親と同様の方針を貫いており、正男の帰国を許さなかった。
元帥様は、正男の海外での放蕩ぶりと、天衣無縫な発言を案じておられた。それでも張成沢(金正恩の叔父の党行政部長)と金敬姫(金正日総書記妹の軽工業部長)夫妻がパトロンとなって、正男に送金を続けていた。
朝鮮労働党幹部によれば、ジョンウン氏はアメリカがジョンナム氏を立てて亡命政府を樹立し、自らを引きずり下ろそうと企てる可能性を考え、後継者排除に乗り出したと見ているようです。
実際にキム・ジョンナム氏が暗殺された後に、公式の発表の中に「後継者問題は終結した」という旨の声明を出しています。
このとからも、キム・ジョンウン氏が後継者狩りに乗り出した結果として、キム・ジョンナム氏が暗殺されたのは間違いないようです。
そのため、キム・ジョンナム氏が溺愛していた息子の金漢率(以下、キム・ハンソル)氏も今後危ないと言われています。
金正男(キム・ジョンナム)の暗殺手段と死因とは
VXガスを直接顔に塗布された金正男
2017年2月13日午前9時(日本時間10時)頃、キム・ジョンナム氏はクアラルンプール国際空港内でマカオに戻るチケット発券のために、エアアジアの自動チェックイン機を操作しました。
そこに、北朝鮮工作員から騙されて雇われたベトナムとインドネシア国籍の2人の女性が現れ、キム・ジョンナム氏の背後から襲い掛かりました。女性2人はすぐに現場から逃走しました。
顔にVXガスを塗布されたキム・ジョンナム氏は、体調不良を覚えて構内の案内員に空港内の医務室に案内して貰いましたが、その時点でソファにぐったりと沈み込むほど重篤な状態。
空港近くのプトラジャヤの病院に救急搬送されましたが、その途中で死亡が確認されました。
キム・ジョンナム氏の直接的な死因は、猛毒の神経剤であるVXガスによる「ショック死」だと発表されました。
その後逮捕されたベトナム人女性の自供によれば、「1人がハンカチで顔を押さえ、もう1人が顔にスプレーを吹きかけた」ということでした。
金正男(キム・ジョンナム)を暗殺した実行犯2人とは
実行犯はベトナムとインドネシア人の女性2人
上の画像の左がベトナム人女性のドアン・ティ・フォン氏で、右がインドネシア人のシティ・アイシャ氏です。
事件後、この実行犯の2人の女性と北朝鮮国籍の工作員1人がマレーシア警察に逮捕されました。
2人の女性は供述で、事件前にテレビ番組の企画と騙されて同様のいたずらを複数回行って報酬を貰っており、キム・ジョンナム氏の時もそのいたずら企画だと思っていたと語っています。
ベトナム国籍とインドネシア国籍の2人の女性は殺人罪で起訴されたが、両被告の弁護団によると2人は北朝鮮の工作員にだまされて事件前の数日間複数の空港やホテルやショッピングモールでテレビ番組の企画としていたずらにより報酬を得ており、クアラルンプール国際空港での行為も同様のいたずらと思い込んで実行に及んだと主張している。
この2人の実行犯の女性は、事件から約2年間公判が続けられていましたが、2019年3月11日にインドネシア国籍のシティ・アイシャ氏は起訴取り下げで釈放されています。
一方で、ベトナム国籍のドアン・ティ・フォン氏は、起訴取り下げを却下されて公判が続いています。
同じ罪状で起訴されていた2人の女性の明暗が分かれた理由は、それぞれの国の対応の温度差の違いがあったようです。
「公正な裁判を求めながらも自国民の被告の早期釈放」を訴え続けてきたインドネシア政府とベトナム政府の温度差に加えて、両国が抱える人権問題への対応の差も根底に横たわっているとの見方も浮上している。
マレーシア検察当局が突然、インドネシア人のシティ・アイシャ被告(27)の起訴取り下げと即時釈放を言い渡したのは3月11日で、アイシャさんはその日の夕方はインドネシアに帰国することができた。
一方のベトナム人ドアン・ティ・フォン被告(30)は、同日中の釈放はなく、ベトナム政府があわててシティ・アイシャ被告同様の措置を求めて動き始めた。
「今日が自由になれる日だとは思っていなかった」と歓喜の表情を見せていたシティ・アイシャ氏に対して、引き続き拘束が続くドアン・ティ・フォン氏の絶望した表情が印象的でした。
しかし4月1日になって、ドアン・ティ・フォン氏が殺人罪ではなく、傷害罪という起訴罪名の変更が発表されました。早ければ、5月にも釈放の見通しとなっています。
暗殺された金正男(キム・ジョンナム)が影武者説 【本物は生きている?】
金正男の遺体には刺青が入っていなかった?
キム・ジョンナム氏が実行犯2人に襲撃され、体調不良を訴えて空港内の医務室に案内された時のソファにもたれかかる姿は大々的に報じられ話題となりました。
この写真で丸が付いている部分に注目すると、Tシャツの隙間から覗いている腹に刺青が無いことが分かります。
日本の番組でも取り上げられましたが、実はキム・ジョンナム氏は腹部や背中、肩にかけて刺青を入れています。
これは暗殺後にキム・ジョンナム氏の友達だったというシンガポール在住の中国人男性が提供したプライベート写真からも分かります。
金正男は事あるごとに刺青を自慢していた
キム・ジョンナム氏はお酒の席で酔いが回ると、脱ぎだして刺青を自慢していたそうです。
さらに、保守派の論客として人気の竹田恒泰氏によれば、マカオでキム・ジョンナム氏を見かけた時、影武者と一緒にいたということです。
この疑惑について日本で真っ先に反応したのが、明治天皇の玄孫に当たるタレント・竹田恒泰氏だ。19日、竹田氏は自身のフェイスブックを更新し、「真相は不明」としながらも「私がマカオで彼(金正男氏)を見かけた時は影武者と2人だった」と指摘している。
もし暗殺されたのは影武者の男性で、本物のキム・ジョンナム氏は生きているとすれば、世間のもっぱらのイメージである”ただの放蕩息子”ではないかもしれません。
たぬきの見解というか、妄想
— たぬき++( ‘v’)++ (@mbi_0515) 2017年2月21日
「自作自演暗殺事件」
黒幕:キムジョンナム本人
共犯:マレーシア政府
そう、キムジョンナムはまだ生きている。
自分に似たオッサンを殺させて自分が死んだことにすれば北朝鮮の魔の手から逃れられる。
後は一切表に出ず静かーに暮らしていくだけ。
(つづく
キム、ジョンナム?影武者じゃないかっていわれてるけど、案外、そうかもね?警備が全然ついてないのも変だったし?マレーシアどうやらネオコンciaとグルだというし、あの余りに早過ぎる犯人特定もどうなのかと?もしかしたら‥ 北朝に何の得もないのに? 得をするのがクネにネオコンciaだよね
— 星空の下から(星の煌めき) (@furegurans8) 2017年3月1日
影武者かあ キムジョンナムも頭薄くなってきたから ハゲ武者ってこともあるけど
— カミカミ亭にゅうし (@kamikamitei) 2017年3月1日
金正男の暗殺・死因についてのまとめ
2017年にマレーシアで殺害されたキム・ジョンナム氏の暗殺の真相について、総まとめしてきました。
・金正男は影武者が暗殺されただけで本物は生きている可能性がある
もしキム・ジョンナム氏が生きているとしたら、2019年3月1日に亡命政府を樹立した団体「チョルリマ・シビル・ディフェンス(CCD、千里馬民防衛)」に力を貸しているかもしれません。
しかし、キム・ジョンナム氏は何よりも自由を愛しているとインタビューで答えたことがあるため、暗殺されたことにして今後は北朝鮮とは関わらず平穏に生きていくのかもしれません。