韓国の家庭で愛飲されている伝統的なお酒として紹介された「トンスル」ですが、実は原材料が人糞ということで多方面で話題です。
今回は韓国の酒・トンスルの効果や味、作り方、デマが拡散した理由、海外の反応などまとめてみました。
この記事の目次
韓国の酒・トンスルとは
韓国に伝来してきた人糞酒・トンスル
トンスルは、古来から韓国に伝統的に飲用されてきたと記述が残る薬用酒・韓方薬です。
「トン」は韓国語で人糞、「スル」は酒を意味しています。その名のとおり人糞を原材料に使ったお酒になります。
トンスル(人糞酒)の起源について
中国に古来から伝わってきた漢方薬には人や動物の糞尿を原材料に用いたものが多くありますが、中国から漢方薬が伝来した韓国(朝鮮半島)でも薬として飲用されてきました。
ユネスコ世界記録遺産に指定されている古文書『東醫寶鑑』には「破棺湯(野人乾水)」の名前でその作り方が記されており、昔は乾燥させた人糞を水で溶いたものでお酒ではありませんでした。
韓国の酒・トンスルの効果とは
トンスルは漢方薬から発展した民間療法で、骨折・打撲・腰痛に効果がある他、切り傷などからウイルスが入り込んだ感染症や胃痛などにも効果があるとされています。
高い生薬を買えない貧しい農村部などでは、怪我によく効く唯一の薬として愛飲されていたと言われています。
トンスル(人糞酒)の現代での飲用について
韓国でのトンスルの製造は1960年代を最後に途絶えたとされています。
しかし、現代でも一部の人々が好んで愛飲しているという動画が日本のWEBメディア「VICE Japan」により紹介され、イギリス紙「デイリーメール」にも取り上げられました。
また、日本国内でトンスルの話題が広まるきっかけとなったニュースサイトは「ロケットニュース24」です。
2012年11月9日に、トンスルの売人を発見して購入したことを紹介する記事が公開されました。店頭での販売はなく、売人から直接購入するしか方法が無いということでした。
トンスルが蛇口から出てくる?
韓国で飲用の水源に人糞が流されていた
韓国の南部にある100万人都市の昌原市で、川に人の糞尿や生活排水が流されていたことが分かり問題になったことがあったようです。
韓国南部、昌原市民100万人の水源となっている洛東江取水場のすぐ横の川に、人糞や生活排水が混ざった汚廃水がそのまま流されていることが判明した。1年以上もこの違法排水を続けてきた張本人は、なんと行政官庁である昌原市だった。
現場は韓国4大河川の一つである洛東江の支流。上流に温泉を利用した団地が近年造成され、汚廃水は主にそこから流れてくる。汚水が流れた川底には1メートル以上も汚物が堆積し辺りには悪臭が漂うほか、浮いた魚があちこちに見える。
引用:NEWS U.S. – 【韓国発狂】韓国では蛇口をひねるとトンスルが出てくることが判明www クッッッソワロタwww
さすがに家庭への水道は水道局で濾過されたものが通っていたと思いますが、ソウルは国際基準の水道水が出るようですが、その他の地域は不明です。
韓国の酒・トンスルの作り方とは
トンスルの作り方は様々ある
古文書に伝わる前述の作り方は「人糞を乾燥させて水で溶いた」だけの簡単なものでしたが、現代にはお酒としての作り方が伝わっています。
地域によってもトンスルの作り方は変わるようですが、大きく分けると以下の5つに分類されるようです。
・田舎の汲み取り式便所に竹を差込み、竹の中に排泄物が詰まって出てきたものにお酒を混ぜて飲む。
・竹筒に小さな穴を開け、松葉できっちり穴を塞ぎ、便壺に入れておき、3-4ヶ月経つと、竹筒の中に清い液が溜まるので、それをマッコリと混ぜて熟成させる。
・急ぎの場合は直接に酒と大便を混ぜて3日程度で飲む場合もあったが、急造されたトンスルは薬としての効果は弱く、非常に臭いがきつく飲みづらい。
・赤ちゃんの排泄物を焼いた物と複数の韓薬(秦皮(?)、ホンア、猫の骨等)を酒に漬ける。全ての疾患に治療効果を発揮するとされる。
・6歳の子供の大便に水を混ぜ、丸1日発酵させる。次に、炊いた白米と酵母、糞尿を混ぜて酒にする。骨折・打撲・腰痛のほか、てんかんにも効能があるとされる。
単純に水で人糞を溶いたトンスルは匂いがきつく効果も低いようですが、お酒を混ぜることで飲みやすく、効果は倍増するようです。
韓国の酒・トンスルの味とは
女性5人がトンスルを騙されて飲んだ
前述のトンスルを紹介し広めた「ロケットニュース24」が、美女5人にトンスルとは知らせずに飲ませ、感想を聞くという企画を紹介しました。
その5人とは、ガーズルエアバンド「ドッペルゲンガー」としてインディーズで活動する北條まみさん、加藤遥さん、小田あさ美さん、由井香織さん、加藤桃子さん。
「ロケットニュース24」の編集部から、「漢方のお酒」として紹介され飲まされましたが、その時の味の感想が以下の通りです。
北條まみ「えっ!? 意外! 漢方のお酒と聞いていたのでクセがあるかと思ったらぜんぜん違いますね。とても美味しいです。普通に飲めちゃいます。これなら女子にもウケると思う」
加藤遥「なんだろう? 身体がポカポカしてくる感じがいいですね。飲んだばかりなのにすぐ温かくなってきて、気分もいい感じになりますっ♪ キュンとくる感じ? うんうん、これならどんどん飲めちゃうよ~☆」
小田あさ美「思ったよりアッサリしててスーッて飲めちゃいますね! 焼酎が苦手って女子にも受け入れられそう。居酒屋にあったら絶対に注文しちゃう☆ 価格? 800円くらいならオカワリしちゃうかも!」
由井香織「昭和の駄菓子のような味がします! すごーいオイシー☆ この甘さはなんだろう? 養命酒っぽいけど違う甘さがありますね。甘いお酒が好きな女子には絶対にウケますよっ♪ また飲みたいって思う味」
加藤桃子「美味しいっ! 焼酎が苦手な私でも飲めるって凄いですよ。ワインのような上質で上品な味がするっ☆ 色もとてもキレイじゃないですか。ロゼワインのようにオシャレな透き通った色は女子なら絶対に好きなはずですっ☆」
引用:めるも – 【トンスル】韓国のウンコ酒を美女5人に飲ませてみた / 女子「ワインのような上質な味がする」→ 記者「ウンコ入ってますよ」→ 女子「糞まずオエーッ!!」
トンスルを大絶賛していた5人。味はとても好評のようで、居酒屋で1杯800円を出しても惜しくないほど美味しいようです。
人糞が発酵されてお酒と混ざることで臭みが抜けるのかもしれませんが、お酒自体が元々とても美味しいのでしょう。
しかし、5人は編集部から「人糞を使っている」と聞かされると、途端に顔色を変えて”糞”だけに「糞まずオエエエエェェェ」と戻してしまったようです。
他にも、女優の千絵ノムラさんがトンスルを飲む様子を動画で公開し、話題になりました。
韓国の酒・トンスルのデマが広がった理由
「ロケットニュース24」の紹介が曖昧だった
2009年7月31日に「ロケットニュース24」が執筆者匿名でトンスルを紹介する記事を投稿しましたが、その紹介が曖昧だったためネットユーザーが勝手に解釈して拡散してしまいました。
「ロケットニュース24」では、韓国に嫁いだ日本人女性のブログを取り上げていましたが、その女性は嫁ぎ先でトンスルの存在を知り驚愕した様子を綴っていたようです。
「トンスルは特に農村部などで愛飲されていた」と、さも現代でも常飲しているかのように伝えたため、記事を読んだ人が「韓国人はウンコのお酒を飲む」と勘違いして広めてしまいました。
実際には、トンスルは韓国でも知っている人が少ないほどの昔の文化であり、それが薬であることすら伝えられていなかったため、嗜好品だと捉えられてしまいました。
韓国の酒・トンスルが嫌韓ヘイトの手段に使われる
ネット右翼にとってトンスルは嫌韓ヘイトの格好のネタになった
普段から韓国を忌み嫌っているネット右翼(以下、ネトウヨ)にとって、人糞酒であるトンスルは馬鹿にする格好のネタとなりました。
しかしこの記事をきっかけに、韓国や韓国人を「トンスル(人糞酒)国家」「トンスル(人糞酒)民族」と蔑称することが、この時期のネット空間における匿名のネット右翼の間で常識的になった。
21世紀の現在、人糞酒などを薬の代わりに飲んでいる韓国人は、文明度の低い野蛮人である―というヘイト言説を垂れ流すときに、必ず付随したのがこの「トンスル」という噓であり、デマであった。
ネトウヨはブログやツイッターなどSNSで「韓国はウンコ酒を飲んでいるキチガイ国家」と嘲笑い、「南トンスルランド」と呼んで馬鹿にするようになりました。
こうしたネトウヨの情報拡散により、右翼のそれなりに知名度を持った言論者が公演などでも「韓国は人糞を食らってるからイカれているんです」というような発言をすることも。
トンスルは、嫌韓ヘイトに都合の良い材料になってしまっています。
「ロケットニュース24」は、韓国を馬鹿にするつもりで記事を投稿したのではないと思いますが、ネトウヨが嫌韓ヘイトに利するようになってからも、約8年間記事を放置していました。
さすがに2017年10月頃、削除せざるを得ない状況になったようです。
疑いますねぇー、うんこが、万能薬っていう民族だから。
— 北海道 釣りジャンキー Aki (@aki704020697) 2019年2月26日
頭の中が脳みそじゃなく、うんこなんですよ!🤣
朝鮮にトンスルってお酒があります、Yahoo!で検索したらでできますよ🤣
人糞で出来てるお酒です!
学校の先生が教えてくれました🤣🤟
自分を虐める集団に自ら近づき、搾取され蹂躙され、その集団から離れられるように手を差し伸べても振り払う。 そして精神的、肉体的に苦しむ。 …私には理解できない。 教えて、可哀想な在日キムチ野郎の皆さん。トンスル呑みすぎたの?バカなの?マゾなの?寄生虫なの?
— 尊皇 討奸☆彡 (たけぽん) (@requiemvampire) 2011年12月30日
韓国の酒・トンスルについて海外の反応
海外ではユーモアを持って捉えている
トンスルが日本のネット上で大きく話題になったことで、その影響は海外にも及んでいたようです。
しかし、日本のように政治問題があるわけではないため嫌韓ヘイトは少なく、面白がっている人が多いようです。
みんな、これ飲んでみたい?
Italy(イタリア)
もちろんだ。何を躊躇う必要がある?
Germany(ドイツ)
きっと素晴らしい体験になるだろうね。
鼻を完全に塞いでいれば。
Finland(フィンランド)
>排泄物を飲みたいか?
Noだ、そんなことしなくてもワインはそれレベルで不味い
United Kingdom(イギリス)
さすが欧米人といったユーモアのあるやり取りですが、体験を大切にする文化圏のため、本気かどうかはさておいてトンスルを飲むことも素晴らしい体験の1つだと思っているようです。
しかし、韓国は2002年の日韓ワールドカップを契機に世界中で嫌われているという側面もあるため、トンスルの情報でいよいよ韓国が理解できなくなった人も少なくないようです。
もう韓国好きの人を理解できない。
韓国はどこに行っても三流国だ。
クソ文化はなんの役にも立たない。
(ノルウェー)
↑
ふーん。じゃあノルウェーはどうなの?
僕らはノルウェーのこと全て知ってるとでも?
教師ですらノルウェーの全てなんて知らない。
もしキミが理性的な人間であるなら気づくはずだ。
一流国と呼ばれる国はG7(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ)の7カ国しかないということを。
だがノルウェーはどこに行っても三流国だ。カタールやクウェート並のね。
これがキミにふさわしい合理的な結論だよ。
(韓国)
韓国は、独立以降アメリカ文化を色濃く受け継いでいるため、嫌韓コメントへの返しも欧米風なロジカルな口調になっています。
ですが、上のノルウェー人が言っているような「クソ文化はなんの役にも立たない」というのは時代遅れで、現代の最新医療の現場では人糞が注目されています。
健康な胃腸を持つ人の便のサンプルを提供してもらい、腸内フローラに良質な菌を培養した上で患者の腸内に移植するという「便移植」は日本でも治療を受けられます。
便秘や腸内フローラが悪い人は肥満になりがちで、「便移植」で腸内フローラを改善することで便秘を改善し、ダイエット効果も期待できるとして「便移植ダイエット」も注目されています。
この「便移植」は肛門から直接チューブを通して移植するようなので、経口摂取するトンスルとは違うと思われるかもしれません。
しかし近年は、良質な腸内フローラを持つ人の便をフリーズドライにして、カプセルに入れ経口摂取する治療もあります。
全ての病気は腸内フローラの善し悪しが影響しているとも言われ、その腸内フローラを整える健康な人糞はやはり万能薬だと言えるでしょう。
こうした最新医療からもあながちトンスルは馬鹿にできるものではなく、トンスルが誕生するきっかけになった漢方薬を開発している中国4000年の凄さを改めて感じる話でしょう。
こういうので情操をはぐくめば、将来「アベノミクソw」とか「トンスル国家w」とか言っちゃう情けない大人にはならないだろうな #クロス
— Sus4 (@Suspended_4th) 2019年2月26日
韓国の酒・トンスルについてのまとめ
2009年から話題になったトンスル(人糞酒)の歴史から、嫌韓ヘイトに使われたデマなどまで総まとめしてきました。
・最新医療でもトンスルのような人糞を使った「便移植」が注目されている
トンスルを馬鹿にするネトウヨは非常に多いですが、実は日本の江戸時代にも人糞を使った薬「人中黄」があります。
トンスルと似た作り方で同じような効果があり、同様に中国の漢方薬から伝わっています。
とはいえ、例え人糞が万能薬だとしても、多くの人が経口摂取したくないのは事実としてあるでしょう。
これからの医療にも注目ですね。