香港の政治運動家で「民主化の女神」と呼ばれるアグネスチョウ(周庭)ですが、日本のサブカル好きでも知られています。
今回はアグネスチョウの経歴や出身大学、逮捕歴2回、日本語レベル、現在の活動も紹介します。
アグネスチョウのプロフィール

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周庭(しゅう てい・英語名アグネス・チョウ)は、1996年12月3日生まれの香港の政治運動家であり、香港衆志常務委員、自決派として政治運動をする大学生です。
洗練されたルックスと活動の知名度から、香港で若者を中心に支持を集め、香港では「学民の女神」「民主化の女神」と呼ばれています。
両親がアグネスチョウの幼少期に申請したことから、2017年まではイギリス国籍を保有していましたが、イギリス本土に居住したことはありません。
政治活動のため香港特別行政区立法会地方選挙に立候補する際、イギリス国籍を放棄しました。
アグネスチョウの有名な政治活動には、2012年の学民思潮による「反国民教育運動」、2014年「雨傘運動」、2019年に世界的に問題となった「逃亡犯条例」の抗議デモへの参加です。
学生リーダーとして民主化運動を引っ張ってきたアグネスチョウのこれまでの経歴、出身大学、そして逮捕についてまとめました。
日本好きとして知られるアグネスチョウの日本語力や、現在の活動状況についてもご紹介します。
アグネスチョウの経歴
2012年:「反国民教育運動」に学民思潮のメンバーとして参加

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香港教育局が発表した小中学校向けの道徳・国民教育の新たなカリキュラム教材が、中国共産党と中国政府のナショナリズムを称賛し、共和主義と民主主義を批判する内容となっていました。
これが「洗脳」であるとして、香港の民主派学生運動組織「学民思潮」がこれに反対しました。
「反国民教育運動」と呼ばれるこの運動は、香港政府の庁舎前に数千人規模のデモ隊を集め、アグネスチョウは香港学生連盟と共に抗議デモを実施しています。
そして2012年9月8日、カリキュラムの導入を却下させることに成功しました。
アグネスチョウが参加した学生組織「学民思潮」とは、1990年代に生まれた中学生を中心としたメンバーで構成されています。
当時中学生だったアグネスチョウは大規模な学生運動に関心を持ち、学民思潮のスタッフとして参加しました。運動が終わってからは、アグネスチョウは広報担当に就任しています。
このように、アグネスチョウが民主化運動の世界に足を踏み入れたのは、わずか15歳の時でした。反国民教育運動がデビュー戦となり、その後数々の活動に参加しています。
2014年:「雨傘運動」に学民思潮のスポークスパーソンとして参加

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「雨傘運動」とは、2014年9月26日より香港で行われた、香港特別行政区政府に対する抗議デモ活動です。雨傘革命や香港反政府デモと呼ばれることもあります。
2017年の選挙で中国政府が、民主派の立候補者を排除する選挙方法を決定し、これに抗議する形で数万人の学生・市民が繁華街を占拠しました。
雨傘運動という名称は、催涙弾や催涙スプレーでデモ隊を排除してくる警察に、デモ参加者が雨傘で防御して対抗したことから名付けられています。
この雨傘運動でアグネスチョウは、団体の意見を発表する役割のスポークスマンを務め、学生らから「民主化の女神」と呼ばれるようになりました。
世界から注目された雨傘運動で海外メディアに数多く登場したことから、雨傘運動の代表的な存在と認識され、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)と共に学生運動のリーダーとして活躍しました。
2016年:「香港衆志(デモシスト)」を創設、初代副事務局長に就任

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2016年、アグネスチョウは雨傘運動などで共に学生リーダーとして活動してきた黄之鋒、羅冠聡とともに政党「香港衆志(デモシスト)」を創設しました。
デモシストとは、香港の政治体制を住民投票で決めるべきとする自決権を掲げる政党で、アグネスチョウは初代副事務局長に就任しています。
主席は羅冠聰で、選挙への立候補を目指して活動を始めました。
デモシストは公約に「民主自決の実現」「暴力に頼らない民主化」などを掲げ、香港の老若男女幅広い世代から支持を集めています。
しかし、民意を得たあかつきには香港独立も辞さない姿勢だったことから、香港は中国と不可分であるとする「香港基本法第一条」に反するとして、選挙への立候補が認めらていません。
「今の香港で私が議員になる方法はない」と漏らしたこともあるアグネスチョウ。
必死に活動する姿は海外メディアやツイッター、日本のワイドショーなどでも取り上げられているため、アグネスチョウの活動を目にした人は多いのではないでしょうか。
アグネスチョウの大学とは?

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非民主である香港政府に一石を投じようと活動を続けてきたアグネスチョウは、雨傘運動や香港デモ当時まだ学生だったことは広く知られています。
政治運動を始めたのは15歳、現在は大学生となり、香港の「香港浸会大学」に進学しています。
香港浸会大学は、元はミッション系の私設教育機関として設立され、現在は公立大学として認定されている大学です。
その教育レベルは、イギリスのタイムズが発行している教育情報誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション」によると、早稲田大学とほぼ同等という評価だと言われています。
「世界大学ランキング」では世界全体で307位、アジア圏では45位に選出されたこともある名門大学です。
アグネスチョウの逮捕歴まとめ

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大学生にして政治運動のリーダー的存在であるアグネスチョウ。支持も知名度も高いことから、警察の標的になることも多いようで逮捕歴があります。
15歳から続けてきた政治運動の中で、香港政府や警察から不当な扱いを受けることは少なくありませんでした。
2017年6月にはゴールデン・バウヒニア広場にある、中国中央政府から贈られた香港の象徴「バウヒニア・ブラケアナ像」を黒い布で覆うという抗議活動を実施したアグネスチョウ。
これにより公衆妨害罪で逮捕され、警察署に31時間拘留されました。
2019年8月には、記憶に新しい香港大規模デモで、デモ隊が警察本部を包囲したことに関与し、扇動したという疑いで逮捕されました。
取り調べと身体検査を受けて保釈されましたが、保釈金は日本円にして約13万円、さらに夜間の外出禁止や香港から海外への出国禁止といった制限がかけられました。
アグネスチョウは逮捕について、知名度の高い人物を逮捕することで「警察が人々に恐怖心を与えるため」と批判しました。
国家権力にも屈することなく、活動を続けるアグネスチョウの動向に注目が集まります。
アグネスチョウの日本語レベルとは?

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アグネスチョウは日本語が得意なことでも知られています。
政治運動中に日本国民に向けてツイッターなどで日本語のメッセージを発信しており、ネイティブレベルの自然な日本語は日本人からも評価されています。
アグネスチョウが日本語を覚えるきっかけは、日本のポップカルチャーやアニメが好きで、いわゆる「オタク」だったことから、アニメなどを見て独学で日本語を学んだとのことです。
一番好きな作品は「Fate/Zero」で、「THE IDOLM@STER」も好んで星井美希を推していることを公言しています。
アニメだけでなく日本の芸能人にも関心を持っており、モーニング娘。のコンサートに行ったことを明らかにしています。
その他お笑い芸人の有吉弘行、YouTuberのはじめしゃちょーが好きなようで、日本の文化に触れることで日本語力を高めたようです。
今では日本語が理解できるというレベルを超え、流暢に会話ができる実力に到達しています。
アグネスチョウの現在

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語学力を活かし、日本を始め全世界に発信して支持されているアグネスチョウ。
現在、アグネスチョウはYouTubeにアカウントを開設して動画を投稿しています。
チャンネルの登録者数は2週間で10万人を超え、世界的な注目度を示しました。
現在のアグネスチョウのチャンネルは、政治よりも日常的な動画が多く、お菓子作りや香港人向けの日本語講座などを投稿しています。
一方で、日本で発刊された漫画「香港デモ 激動!200日」を紹介するなど政治運動家らしい動画も時折アップしているようです。
YouTubeを始めるきっかけは大学卒業に際し、フルタイムの仕事に就いてしまうと政治運動ができなくなると感じ、時間に融通の利くYouTuberを選んだことを明かしています。
ルックスが良くアイドル的な人気もあり、広東語や北京語のみならず英語と日本語も駆使して全世界に向けて発信する姿に、新たな若年層からの支持を集めているアグネスチョウ。
香港の若者の未来を憂い、次の世代のために闘っている彼女は、現在もこれからも必死に政治に関わっていくことでしょう。
アグネスチョウの今後の動向にも目が離せません。
まとめ
香港の政治運動家で、日本でも知名度の高いアグネスチョウについてまとめました。
現在はYouTuberとして新たな層にも発信力を轟かせているアグネスチョウ。
今後の活動にも注目です。